QoHシリーズ

正式な名称は、「The Queen of Heart」。
初代(1998年発表)、QoH'99ときて、現在のバージョンはQoH'99SE。
SEはとりもなおさず(?)、Second Editionの略である。

今までに出ている2Dの対戦格闘ゲームのエッセンスを凝縮したような
格闘システムを持つ、もしかしたら究極の2D対戦格闘ゲーム。

これがメーカー製の製品版のソフトウェアではなく、個人の手になる
オンラインソフトウェアであると言うところがすごい。

登場するキャラはLeafの歴代のゲームに登場するキャラクター達。
同じキャラで別性能のバージョンをもつキャラもいるため、それらも合わせると
総勢30人ものキャラクターが存在する。

これだけのキャラクターを揃えつつ、そのそれぞれが性能的に似かよることもなく、
しっかりと存在を主張できているところがまずスゴイ。
そして、それぞれが元となるゲーム中のキャラクタの個性をちゃんと表現
できているところでまたびっくりする。

同人ソフトゆえ、完璧なバランス取りは行われてはいないのだが、かなり多くの
ユーザを抱え大会等もそれなりの数開かれてきたことから、ユーザの声を
直接開発者が汲み取ることができていたようで、自然とある程度バランスが
取れる形になっていて、これだけの数のしかも性質の異なるキャラを抱えながら
大きくゲームバランスが崩れることがないというスゴイゲームでもある。

ソース公開はしていないのでオープンソフトウェアではないが、ネットワークの
資源をフルに活用してバージョンアップとユーザの意見のフィードバックを
繰り返すことにより、どんどん熟成されてきた本当の意味での
オンラインソフトウェアかもしれない。

ゲームはWindows+DirectX7の環境で動作するのだが、登場するキャラクターの
サイズは少々小ぶりながらそれほど高速なマシンでなくても、秒間60コマの
画面書き換えを実現してしまう。

おまけにコンシューマのメーカー製のゲームでもあんまり実現されていない、
4人同時対戦も実現してしまっている。

動作も現バージョンでは非常に安定している。

最初に書いたように対戦システムは非常に凝っており、
(チェーンコンボ、2段ジャンプ、エリアルコンボ、空中ガード、受身、
空中復帰、ガードキャンセル、相殺、必殺技キャンセル、スーパーキャンセル
などなど)プレーヤの出来る行動は非常に豊富。

よって一見複雑なシステムに見えるのだが、必殺技のコマンドの簡略化や、
チェーンコンボのタイミングが適度にヌルくなっていることなどにより、
実はかなり間口は広いゲームである。

対戦格闘と言うと普通は遊ぶ人を選ぶような印象があるが、このゲームは
対戦格闘が初めての人でも適当にボタンと方向キーをてきとうにガチャガチャ
やっているだけでもそれなりに楽しめるように出来ている。

適当連打でも技はちゃんとつながるし、必殺技もそれなりに飛び出す。
だれが遊んでも爽快感のある作りになっていると思う。

だが、このゲームが本当にスゴイのは単にゲームの敷居が低いと言うだけではなく、
非常にゲームシステムの奥行きが広いというところ。
練習して新しい戦法をマスターすればそれだけ確実に強くなれるし、
その奥深さがちょっと並ではないと言うところ。
初心者は初心者なりにちゃんと楽しむことが出来、上級者はまた上級者なりの
楽しみ方がちゃんとあるのだ。

また、上級者に挑む場合、キャラ勝ちと言うのがほとんどありえない。
ちゃんと腕の差が腕の差となって現れるソフトである。

これはとりもなおさず、格闘システムの完成度が非常に高いことを示しているのだが、
逆にこの完成度が高い格闘システムを備えるが故に、腕の差のある人間同士の
対戦がほとんど成り立たないという難しさも抱えてしまう原因になっているのが
何とも皮肉な感じである。

このゲームをネタにゲームoffを開いても、自分の相手として適当なレベルの相手を
探すことが非常に難しいのだな。
対戦モードでハンデの設定も可能ではあるが、腕の差はその程度ではカバー
しきれない場合のほうが多いのだ。

経験時間、研究の程度がリニアにプレーヤーのレベルに反映され、
かつ、その実力を表すグラフのリニアな区間が非常に長い。
それがこのゲームの最大の特徴かもしれない。
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