To Heart



Leaf製のビジュアルノベル第三弾。

フルサイズのCGのトーンを落とした上にテキストをオーバーラップさせる

という見てくれは継承しているものの、実際の中身は恋愛シミュレーションや、

そちら系のアドベンチャーゲームに近いもの。



たっぷりの文章でストーリーを読ませるというところについては前作(痕)、

前々作(雫)と同じといえますが。



トレーディングカードが発売されたり、PlayStationへの移植が決定したりと、

今になってまた盛り上がりを見せているようだが、発売はちょうど一年前。

Windows用の18歳未満おことわりのゲーム。



先日、



「マルチって何のキャラ?」

「To Heartってエロゲーのキャラです」



という会話を聞いて思わずむっとしてしまい、自分がいかにこのゲームを

気に入っていたかを思い出させてもらった次第。



一言で言ってしまえば上の会話のとおり単なるエロゲーってことになるのかもしれない

んだけど、ぼくはこのゲームをその一言で括られてしまうのにはものすごく抵抗が

ある。これは単にヤるだけのゲームじゃないからね。



すごくしっかりと掘り下げて設定されているキャラクターとの普段のやりとりが

とても楽しい。だんだんとキャラとの距離が近づいていく過程が分かるよう

作り込まれていて、遊んでいると、何というかその辺の感覚がとてもいいのだ。



まあ、確かに最終的には最後までいっちゃうんだけど、

そこはあくまでもご褒美的なものであってそれが目標って訳じゃない。

ストーリーが進んでいき、女の子との仲の進展のクライマックスとして

それがあるだけ。



ゲームには計8人のキャラが登場するのだけれど、それぞれキャラが

しっかり立っている。このへんのキャラの立て方はこのメーカーは抜群に上手。

普段のなんでもないところの描写がしっかりされているので、それぞれの

キャラのことが遊んでいるうちにすごく良く見えてきて、かつ、ゲーム中での

存在感が出てくるように作られてる。



全然説明的なテキストなんて存在しないんだけど、遊んでいるといつのまに

かそれぞれのキャラのこと良く分かるようになってるんだよね。

だから、すごくそれぞれのキャラに感情移入をしやすいし、

肝心のシナリオも良く練られていると思う。



どこかのゲームライターが別のゲームに対していった言葉なんだけど、

優秀な恋愛系のゲームっていうのは「良質な恋愛小説に参加できる」そういう

感覚なのだそうだ。それを見たときにぼくも思わずうなずいてしまったんだけど、

このゲームにもこの言葉がぴったり来ると思う。



短編だけどすごく良質な恋愛小説、全8編に主人公として参加できる。

読むだけじゃなくて、能動的に物語に参加できるからよりのめり込み

やすいんじゃないかと思う。



一方、ゲームとして「攻略」ってことを考えるとこのゲームはとっても簡単。

メインヒロインを除けば、ただひたすら目的の女の子のあとを追いかけていれば

いいだけだから。



だからやっぱりこれはそういうゲームではなく、のんびりと構えてこのゲーム

独特の優しい雰囲気を味わうためのゲームなのだろうなぁ。



いまだに心がギスギスしたときなんかに起動して、クライマックスシーンなどを

なぞってみて、ほっと一息つける、そんなソフトだったりするから。



ちまたでは、マルチ人気が爆発していて、ぼくもマルチのシナリオの

クライマックスでは、おもわずほろっと来てしまったくちだけど、一番の

お気に入りのキャラは、主人公の幼なじみのあかり。



ゲーム中で何かと一緒にいる時間が長いし、メインヒロインだし、

それにこんなにいい子をほおっておいちゃいけません。(^^)



秋頃をめどにPlayStationへの移植を行うそうで、今は期待と不安があい半ば

してるというところ。18禁パートがばっさりカット、あと恐らく声が入ったり

するのだろうけど、あの優しい雰囲気をそのまま持っていってほしいな。

それだけはお願いしたところ。



ついでに、オープニングと、エンディング曲のフルコーラス化を。

カラオケで歌いに行ってもあっという間に終わっちゃってつまんないんだもん。(^^)


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