Leaf製のビジュアルノベル第二弾。

もしかしたら、いままで遊んだゲームソフトのかなで一番泣かされた

かもしれないもの。



なんらかのエンディングを見た回数は40回以上。

ゲーム中に存在するエンディングの種類は10個ぐらいだったはずだから、

30回は同じエンディングを繰り返し見ているということ。

でもって、その度に涙しているのだから我ながら、なんというか...。



このゲームは非常にかぎられた舞台でお話が展開する。

登場人物も限られており、一番多く登場するのが主人公のいとこの四姉妹。

でもって、序盤のかなりの部分は、この四姉妹と茶の間で過ごす時間が

長いため、すごくほのぼのとした雰囲気。



でも、この序盤は状況を説明しつつ、それぞれのキャラをしっかりと描写して

思い入れてもらうための下地を作る役目をしているのだと思う。

ゲームを初めて遊んだときも、いつの間にか「柏木家」になじんでしまっていたから。



しかし、実際に物語が動き出すとホラーめいた味付けでスプラッタシーンも

たくさんあり、導入とは全く違う雰囲気で話が流れていく。

きっと製作者はここの日常と、非日常的状況のコントラストまで計算して

作り込んでいるのだろうなぁ。



主人公が自分の体の中を流れる鬼の血にとまどいながら、それを克服していく

ような流れで話は進んでいくのだけれど、ストーリーを四姉妹それぞれの

シナリオごとの別々の視点から立体的に見せるしくみになっていて、

シナリオを読み進むうちに徐々にバックストーリー全体が見えてくる仕掛け。



本編のシナリオは四姉妹分の4本に加え、もう一つ全く視点からの1本の

合計5本。



物語の構成上、それぞれが非常に密接に絡む形になるのだけれど、

それぞれの関わりがうまーく処理されていてシナリオ間の矛盾がほとんどなく、

いらぬところろでやる気をそがれたりすることがない。

このへんのシナリオの設定と、調整はおみごと。



ビジュアルノベルというジャンルを確立した(?)ソフトらしく、膨大な

テキストで日常をすごく緻密に描いているのでいつのまにかキャラクターに

どっぷりと思い入れてしまう。



そこにもってきてしっかりしたシナリオで山場をきっちり書いてくれているから、

ぼくのように涙腺が弱い人間だと、もう蛇口全開でぼろぼろ泣けてしまう。



物語の中でキャラが生きてそこに確かに存在していていて、

それぞれのキャラの想いがばっちり伝わって来るのですよ。



一番泣けたシーンは前世でも主人公と結ばれた三女、楓=エディフェルの

想いが語られるシーン。



前世の記憶を思い出して主人公に想いを募らせるのだけれど、それを打ち明けて

しまうとそれがきっかけとなって主人公の鬼の血が目覚め暴走してしまう可能性

があるために、想いを隠してきた彼女が主人公と結ばれる。

それが前世の二人の記憶と絡めて描かれます。



これはもうだめですね。涙腺緩みきっちゃって、涙が止まりませんでした。



でも、一番好きなキャラは長女の千鶴。

(「さん」付けしたくなるのはゲーム中の主人公との関係から)

キャラの設定自体にすごーくツボをつかれたのと、多分、一番好きな

エンディングがこのキャラのシナリオにあるからだと思う。



一番お気に入りのエンディングは実はハッピーエンドじゃなくて、

その一歩手前のバッドエンドなのだけれど、情感というか切なさの盛り上がりは

これが最高だと思う。一番、このキャラらしさの表れたシーンでもあると思うし。



鬼の血がもたらす悲劇を一人で背負って妹たちには一切そぶりも見せず、

自分の幸せよりもいつも妹たちの幸せだけを考えてきた彼女のつかの間の

幸福。しかし、簡単にそれを砕いてしまう鬼の血。



けれど、最期まで自分よりも妹たちのことを考える千鶴さんの心情が

すごく胸にせまってきて..。鼻水までたらして泣きましたね。



余談だけど、このソフト、物語だけじゃなくって音楽のほうもすごく気に

入ってしまって、SC88VLを鳴らして、MDにBGMを録音、会社の通勤の途中で

何度も何度も繰り返し聞いていたぐらい。



このソフトのためだけにでもMIDI音源買って良かったなーと思ったぐらい。

マジで。


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