JR北海道の行き詰まり具合

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次世代の新型特急になるかもしれなかった試作車両が、ほとんどテストもされないまま、先日廃車される見通しになりそう、というニュースがYahooで流れて、案の定コメント欄はJR北海道を叩く内容一色に染まってました。

ただ、批判するコメントのほとんどすべての人はJR北海道の置かれてる現状が全くイメージすら出来ていないみたい。まあ、無理もないとは思いますが。

個人的には、JR北海道は民営化すべきではなかったと思ってます。絶対に利益が出る訳がない構造ですので。

冬、北海道の鉄路は本当の意味でのライフラインの一つです。鉄道がなくなったら、冬に天気が荒れた時には、陸の孤島になる場所がたくさんあります。稚内とか根室とか完全にそういう地域ですよね。

公共交通機関って点で考えると、利益うんうんだけで簡単に廃止していいもんか、ってのはどこの赤字路線でも出るお話だとは思いますが。でも、冬の北海道は、ホントに代替交通手段がなくなっちゃいますから。

稚内まで伸びている宗谷本線、うちの町から北、稚内までは約180kmの路線があります。で、その沿線の町の人口を合計しても、53,000弱しか人がいません。こういう状態で利益を上げられる訳がない。

北海道にはそんな線路がたくさんあります。

普通の民間企業で利益のことだけ考えればいいなら、さっさとそういった路線は廃止ですよね。

電化した方が結局安上がり、なんて的外れな指摘もありましたが、輸送密度の低い路線で180kmもの架線をメンテするのに一体どれだけのコストをかけられるでしょう?

沿線の人口密度、路線の長さ、気候、全部都会の人たちの考える鉄道とは、条件が違いすぎるんですよね。

経費節減のために他社の作った列車を導入すればいい、なんてことを書いてる人もいましたが、それもちょっと当たらない。東北仕様の以前の特急電車は、北海道の冬ではトラブル続きでまるで役に立ちませんでした。

それぐらい条件が違います。

だから、今のJR北海道は多分もう先がありません。このままだと。
基準を引き上げた線路の安全対策だけで、いずれ破綻するでしょう。

完全に手詰まりで、縮小均衡を続けてなんとか少し会社を延命させることしか出来ないのじゃないかと思います。

クルマのあるうちでも、冬の遠出はやっぱり鉄道が安心です。JR北海道には頑張って欲しいとは思うのですが、状況を考えれば考えるほど、悲観的な結末しか思い浮かびません。

結論は最初に戻りますが、やはり北海道は鉄道を民営化なんてすべきじゃなかったんだと思います。